一時期、「ロジカルシンキング」がビジネスの世界で大きな注目を集めました。論理的に考え、合理的に意思決定することは、確かに企業経営や問題解決において欠かせないスキルです。しかし、現場で組織を動かし、人を変えていく過程では、理詰めだけでは限界があることを感じた方も多いのではないでしょうか。
なぜロジカルだけでは動かないのか?
人間は合理的な存在であると同時に、強く感情に影響される存在です。どれほど正しい戦略や改善策を提示しても、「納得」や「共感」がなければ行動には結びつきません。組織風土改革や女性活躍推進といったテーマでは、特にこの点が重要です。なぜなら、これらは単なる制度変更ではなく、人の価値観や行動習慣を変える取り組みだからです。
「スイッチ」が示す変革の本質
チップ・ハースとダン・ハースの著書『スイッチ』では、変革を成功させるためには「理性」だけでなく「感情」に訴えることが不可欠だと論じています。人を動かすためには、次の3つの要素が必要だとされています。
- 理性を導く(ロジカルな方向性)
変革の目的や必要性を明確にし、論理的な根拠を示すこと。 - 感情を動かす(心に響くメッセージ)
「なぜそれが自分にとって意味があるのか」を感じさせるストーリーやビジョンを共有すること。 - 環境を整える(行動しやすい仕組み)
実際に行動を促すための制度やサポートを整えること。
このアプローチは、女性活躍推進やダイバーシティ経営にもそのまま当てはまります。数字や制度だけを提示しても、現場の意識は変わりません。「この取り組みが自分や組織にどんな価値をもたらすのか」を、感情に響く形で伝えることが重要です。
組織風土改善における実践ポイント
- ストーリーを語る
「女性活躍は企業の成長戦略である」という事実を、実際の成功事例や社員の声を交えて伝える。 - 共感を生む場をつくる
対話型ワークショップや社内イベントで、社員が自分の思いや不安を共有できる場を設ける。 - 小さな成功体験を積み重ねる
いきなり大きな変革を目指すのではなく、身近な改善から始めて「できる」という感覚を醸成する。
まとめ
ロジカルシンキングは重要な基盤ですが、それだけでは人も組織も動きません。変革を成功させる鍵は、「心を動かす仕掛け」を組み込むことです。私たちのコンサルティングでは、論理と感情の両面からアプローチし、企業の持続的な成長を支援しています。